冬場に多い故障の中で結構な割合を占めているのがオートマミッションのトラブルです、ちょっと前とは違い今ではマニュアルミッションよりオートマミッションのほうが断然多くなっています、マニュアルミッションに比べ操作は断然簡単、クラッチの操作も必要なくアクセルを踏むだけで勝手に変速してくれる、はっきりいって何も考えずに運転が出来ますからね!一昔前は機械式のミッションも今では電子制御のすごく頭のいいミッションに変わっています、しかし便利になればその分内部構造も複雑になり思わぬ故障も増えてきます、その大きな例として今回はオートマミッションの故障の中でも数の多いオートマミッションバルブボディーについて紹介していきます、「バルブボディーって何?」と言う方がほとんどだと思いますがバルブボディーはオートマミッションの中で重要な役割をしている部品なので見ていただいた方に少しでもご理解いただけるようにご説明しようと思います、ではまずバルブボディーの故障による症状をいくつか挙げてみたいと思います、まず多いのが変速ショックですね、今現在は大方4速オートマが多いですが例えば2速から3速に切り替わるときに「ガツン・・・!」と後ろから突っつかれたようなショックがある、と言うのが変速ショックです、CVT ミッション(無段変速)では無い場合必ず変速ショックはあるのですがあからさまに一箇所の変速がおかしいとか、全体的にギクシャクするなどの場合は変速に対する制御が異常な状態であると思われます、次に多いのがミッションが変速しないという症状です、この症状は冬場に多いように感じられます、朝一番にエンジンをかけてすぐ走り出すと1速から変速せずにいつまでもスピードが上がらない、しかし少し走って温まるとまったく問題なく変速し始める、というのが症状のひとつです、最後がシフトチェンジしても反応がない、この症状は走っていて車庫に入れるためにバックギアーに入れても反応が無く、バックしないでエンジンの回転だけが上がってしまう、しかしレバーを他のレンジに移動した後また入れると今度はバックできた!などの症状になります、その他いろいろありますが今回の例すべてに大きくかかわっているバルブボディーの修理について話を進めます。

バルブボディー1 写真が小さくて見えにくいとは思いますが左の写真はミッションを下から写した写真です、オイルパン(オイルのたまる場所)を取り外すと赤丸で囲った部分が出てきます、それが今回のターゲットとなるバルブボディーです、バルブボディーは油圧の制御を一手に受け持つ部品として最も重要な役割をしています、内部構造は複雑で分解修理をすることを拒む修理屋さんの方が断然多いと思います、しかし慎重に作業を行えば修理できない部品ではないので修理可能なら分解してオーバーホールです!
オートマオイル まずこちらの写真を見てください!これが抜いたオイルです、色は本来”赤”もしくは”薄い茶色”といったところでしょうか?しかし抜いてみてビックリです、そんなに頻繁に交換の必要は無いと言われているオートマオイルですがここまで汚れているとちょっと問題です!まるで泥水?と思ってしまうぐらい赤茶けています、これではオイル本来の効果は薄れてしまっているのではないでしょう
か?オイルが汚れてくるとフィルター、油圧経路のつまりの原因になるのでここまで汚れる前に交換をしたほうが良いでしょう!!
バルブボディー2 これがバルブボディーの内部です、迷路?アリの巣?のような複雑に入り組んだ部品がバルブボディーの本体です、構成部品としてはバルブボディー、バルブボディープレート、スプリング、ラバーボール、スチールボール、バルブボディーガスケット、そしてバルブ、と言う感じの部品がメインです、電子制御になるとそこにソレノイドバルブが加わってきます、用はこれらの部品一つ一つが重要な役割分担をしてオイルの通り道を開いたり、ふさいだりしてオイルの流れ、又は油圧を保っているのです、そのことからひとつでも仕事をサボる部品が出てくると・・・・!どのようになるかわかりますよね?
バルブ 写真の中央のやや右側にあるのがバルブです!このバルブがスプリングと油の作用によって動く事により油圧の制御を行います、バルブの数は大きいのから小さいのまで含めると15個や20個それ以上ある場合もあります、それらの部品がそのときそのときで仕事をするのですが動きの悪い部品などが出てくると最初に書いた「変速ショック」「変速しない」「反応がない」と言う症状に陥ってしまいます、その原因は主に部品同士の機密が問題のようです、もともとボディーはアルミ部品です、そこにアルミのバルブなどがほとんどクリアランスの無い状態(油圧を保つために)で挿入されているので何かが原因で動きが渋くなり動作を遅らせる、もしくは動作しなくなる、そこら辺に原因がある場合がほとんどです、それ以外で言うと隙間に何かがはさまった!と言ったところでしょうか!ミッション内部は使っているうちに金属のバリやクラッチプレートのカスなどがオイルに混ざっていきます、それらが詰まることもよくあります。
バルブボディー3  部品のほとんどがアルミ部品で構成されているのでアルミは熱による膨張、冷めて伸縮、を多少なりとも繰り返しているはずです、それがバルブの動きを悪くする原因のひとつだと思われます、上に書いた「変速しない、しかし温まれば正常!」と言うのが一番これに当てはまると思います、この事からバルブボディーを全部バラして動きの悪いところはすり合わせて伸縮したときなどにかじりつきなどの影響が出ないように修理していきます、修理には手間と時間もかかりますし、ゴミやホコリが入らないように一つ一つきれいに洗浄し、組み間違えなどが無いように最深の注意を払う必要があります、そのような手間やめんどくささ、部品点数の多さなどがほとんどの修理屋さんがオーバーホールをするのをためらわせる原因になっているのかもしれないですね!
バルブボディー4 修理が完了した後もミッションに組み付けるまではきれいなビニールに入れてホコリやゴミが付かないようにしておきます、組み付けの際にはオイルストレーナー(ゴミを取り除くフィルター)やパッキン類なども同時交換していきます、後はオイルを入れて走行テストです、走行テストはオイルの冷えてる朝一番の確認やしっかりオイルが温まってからの確認もしっかり行います、最初に書いたような症状のほとんどはバルブボディーのほうに依存してるケースがほとんどです、ミッション内部に原因がある場合もありますがそこまで症状が悪化していない状態であればバルブボディーのオーバーホールを試みてはいかがでしょうか?